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電気メスを使うのは当たり前の時代!?

2023.12.17

電気メス(電気手術器具)は、現代の外科手術において欠かせないツールの一つです。

その革新性と利便性により、多くの外科医が電気メスを利用しているのを皆さんはご存知でしょうか?

我々の命を守っているため、決して他人事ではありません。

今回のブログでは、電気メスの歴史や技術的背景などを含め詳しく書いていきましょう。

電気メスとは

電気メスというのは、外科手術で使用される医療機器の一つで、電流を利用して組織を切断したり凝固したりするための装置です。
具体的には、電気メスは以下のような特徴と用途があります。

電気メスの歴史

電気メスの歴史は、20世紀初頭にさかのぼります。
最初に電気メスを開発したのは、アメリカの外科医ウィリアム・ボービー(William T. Bovie)です。
彼は1920年代に電気外科の技術を確立し、今日でも彼の名前は「ボービーメス」として知られています。
ボービーの発明により、外科手術の安全性と効率が劇的に向上しました。

電気メスの構造

電気メスは、高周波電流を利用して組織を切断し、同時に止血を行う医療機器です。
高周波電流は、組織内の水分子を振動させ、その摩擦熱によって組織を加熱します。
これにより、組織の切断と同時に止血が可能となります。

電気メスの種類

電気メスには主に二つの種類があります。
ここでは、電気メスの種類と各説明を書いていきましょう。

モノポーラ電気メス

一つの電極が手術部位に接触し、もう一つの電極(接地パッド)は患者の体の他の部分に配置されます。
電流は患者の体を通って流れます。

バイポーラー電気メス

二つの電極が非常に近接して配置されており、電流は手術部位に直接流れます。
モノポーラ電気メスに比べ、より精密な操作が可能です。

電気メスの使用法

電気メスの使用法は、手術の種類や目的によって異なりますが、一般的な使用手順は以下の通りです。

手術準備

まずは患者の皮膚を消毒し、接地パッドを適切な位置に配置します。
その後、電気メスの電源を入れ、適切な電極チップをハンドピースに取り付け、手術の種類や組織の性質に応じて、電流の強度や周波数を調整します。

手術中

ハンドピースを手術部位に当て、電流を流します。
高周波電流により組織が加熱され、切断と止血が同時に行われます。
必要に応じて止血モードに切り替え、出血箇所を凝固させます。

上記の過程にて電気メスは使用されます。

電気メスのメリット

電気メスは、多くの利点を持つため、現代の外科手術で広く使用されています。
ここでは電気メスのメリットを書いていきましょう。

効率的な切断と止血

電気メスは、組織を切断する際に同時に止血を行うことができるため、手術時間を短縮し、出血量を減少させることができます。
これにより、手術の安全性が向上し、患者の回復も早くなります。

精密な操作

電気メスは、非常に精密な操作が可能であり、微細な組織の切断や凝固を行う際に特に有用です。
特にバイポーラー電気メスは、周囲の健康な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。

無菌環境の維持

電気メスは、切断面を高温で処理するため、無菌環境を維持しやすく、感染リスクを低減することができます。

電気メスのデメリット

電気メスにはメリットがある一方で、電気メスにはいくつかの欠点も存在します。

熱損傷のリスク

高周波電流による加熱は、手術部位の周囲組織に熱損傷を引き起こすリスクがあります。
特に不適切な設定や操作ミスにより、意図しない組織損傷が発生することがあります。

煙の発生

組織が高温で処理される際に煙が発生することがあり、手術の視野を妨げるだけでなく、煙に含まれる有害物質が手術チームの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

電気ショックのリスク

不適切な使用や接地不良により、電気ショックが発生するリスクがあります。
このため、使用時には厳格な安全対策が必須になるでしょう。

電気メスの今後の進化

電気メスの技術は日々進化しており、将来の展望も非常に明るいものがあります。

近年、ロボット支援手術の普及により、電気メスの操作もより精密かつ安全に行うことが可能となっています。

そこで活躍するのがAI技術の進化。

AIと自動化技術は、電気メスの操作に多大な影響を与える可能性があります。

AI技術を活用することで、手術中にリアルタイムで最適な切断ラインや出血点を検出し、外科医にフィードバックを提供することが可能です。

これにより手術の精度が向上し、手術時間の短縮と出血の最小化が実現します。

手術ロボットに電気メスの操作を組み込むことで、特に微細な外科手術において、人間の手の限界を超えた精密な操作が可能になります。

また、電極自体にセンサーを組み込み、組織の状態をリアルタイムでモニタリングすることで、最適な電流や出力を自動調整するスマート電極システムが開発されています。

そして、電気メスの進化とともに、遠隔手術(テレサージェリー)の実現も現実味を帯びています。
遠隔手術は、地理的な制約を超えて専門医による治療を受けることを可能にします。
電気メスの操作を遠隔地から行うことで、例えば離島やへき地でも高度な医療を提供することができるようになります。

新素材の開発に力を入れてる!?

電気メスの電極には、耐久性と導電性を兼ね備えた新素材が開発されており、これにより機器の寿命が延び、性能も向上しています。

まとめ

今回のブログはいかがでしたでしょうか?

正直、医療従事者ではない我々にとっては理解することに時間がかかるかもしれませんが、電気メスは現代の外科手術において欠かせないツールであり、その利便性と効果から多くの外科医に支持されています。

技術の進歩に伴い、電気メスはさらに進化し、より安全で効率的な手術が可能となるでしょう。

一方で、使用にあたっては、熱損傷や電気ショックなどのリスクを十分に理解し、安全対策を徹底することが重要になります。