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たびたび話題になる『原発』の何が危険なのか

2021.03.20

知っている人も多いとは思いますが、原発とは原子力発電所の略称です。
ざっくり説明しますと原子力発電所はウランという物質が核分裂を起こした際に生じた熱で水蒸気をつくり、その蒸気の力でタービンを回して発電する発電所になります。

その原発が2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で連日ニュースで話題になりました。
何が起こったのかを詳しく書くと長くなりますので割愛しますが、簡単に説明すると地震によって引き起こされた津波の影響によって福島県にある福島第一原子力発電所から放射性物質が放出されてしまったのです。

※放射性物質とは放射能を持つ物質の総称であり、福島第一原子力発電所からは大気、土壌、溜まり水、海水や地下水などに放射性物質が放出されました。

その結果、日本から原子力発電所をなくした方が良いと提言する人も爆発的に増えます。
しかし、地震大国と言っても過言ではない日本で原子力発電所がいくつも稼働しているのにはそれなりの理由があるのです。

そこで今回は原子力発電所のメリットとデメリットについて書くことにしました。

メリット

まずは原子力発電所のメリットから先に紹介させて頂きます。

①安定して大量の電気を供給できる

他にも様々な理由はありますが、一番大きな理由はこちらになると思います。
先ほども説明させて頂いた通り原子力発電所はウランという物質を使用していまして、このウランは石油に比べて政情の安定した国々に埋蔵されています。
そのため日々変動する世界情勢の波にのまれず、資源を安定して確保できるのです。
また一度使った燃料は適切な処理を施せば再び燃料として使用できますので、準国産のエネルギー資源にもなります。

②電気料金の安定化に貢献できる

原子力発電所は一番メジャーな発電方法でもある火力発電と比べて燃料費の割合が低いため、燃料費の高騰による発電コストの上昇を防ぐことができます。

③発電時に二酸化炭素を排出しない

原子力発電所はウランが核分裂した際に生じた熱を利用するのですが、何かを燃やしているわけではないので発電時に二酸化炭素が発生することはありません。
太陽光発電や風力発電も同じように二酸化炭素を排出しませんが、原子力発電は上記で説明した通り安定して大量の電気を発電できるため、太陽光発電や風力発電よりも優れているのです。

④原子力発電所によって地域の経済が活性化される

こちらはほとんどの方が知らない事実なのではないでしょうか。
原子力発電はリスクがあるが故に本来なら過疎になってもおかしくはない地域に設置されます。
その結果、原子力発電所関連で働く方々によって過疎一直線だった地域が活性化されるのです。
それだけではありません。原子力発電所はリスクが大きいという理由で補助金なども大きく、原子力発電所関連で働く方々の税金なども合わせれば自治体はいつの間にか原子力発電所に依存せざるを得ない状況になってしまうのです。

⑤核兵器の生産が迅速に行える

勘の鋭い方は気づいていたかもしれませんが、原子力発電は核分裂を利用した発電方法ですので、当然核兵器にも応用できます。
つまり核を持たずして核を持つことができるのです。核兵器をいつでも製造可能だと諸外国へ示すことができれば、それだけで十分な牽制になるでしょう。
その為こちらのメリットをデメリットと捉える方もいらっしゃるとは思いますが、今回はメリットとして紹介させて頂きます(特に他意はございません)。

デメリット

続きましては今回のブログの表題にも関係あるデメリットの説明をさせて頂きます。

①放射線の徹底した管理が必要不可欠

当たり前の話ですが原子力発電は火力発電によって発生する二酸化炭素よりも遥かに危険な有害物質を生み出します。
それが先ほども登場した放射性(廃棄)物質というものです。
この物質の危険度が高くなければ誇張抜きで世界は原子力発電所だらけになっていたでしょう。

②天災や人災などによって事故が起きた際の被害が他の発電所とは比較にならない

原子力発電所で事故が起きてしまいますと、発電所から漏れてしまった放射性物質から人々の安全を守るため、事故が発生した発電所から数十キロもの範囲で避難制限強制移住が指示されます。
それだけで済めば良いのですが、一度外に出た放射性物質がすぐに消えることはないので事故が発生した発電所の周りは長期間に渡って立ち入りが許されなくなってしまうのです。
また、立ち入りが許されないということは故障箇所の修理もできないため、事態を急速に改善することも難しく、最悪の場合は何十年間も周辺地域に有害な影響を与え続けてしまいます。
事実、チェルノブイリ原子力発電所(1986年の旧ソ連で事故が発生した有名な原発)の周辺地域は事故が発生してから30年以上経過しているのにも関わらず、いまだに立ち入りが許されていません。

③発電を停止しても発電所の解体がすぐに終わらない

原子力発電所は廃棄ビルなどとは違いダイナマイトなどで破壊するわけにはいかず、非常にデリケートな解体作業が要求されます。
そのため何かしらの理由で発電所の解体が決定されても、元通りの更地へ戻すには膨大な時間を要してしまうのです。
もちろんその間に天災や人災などが起こる可能性もありますので、発電していないからと言って油断はできません。



いかがだったでしょうか。
現在の日本では原子力発電所と聞き、悪いイメージを持っている方も多くいらっしゃると思います。
ですが、原子力発電所が他の発電所よりも優れた一面を持っているのも事実です。
実際フランスでは全発電量の80%近くが原子力発電で、国のトップも原子力発電所は今後も重要な国内エネルギー源として重宝すると公言していました。

しかし日本はフランスと違い地震大国。目に見えないリスクが恐怖心から肥大化してしまい、地域の住民から建設を反対されることも珍しくはありません。
とはいえ現状の科学力では他に代替え案がないため、日本はまだ原子力発電所に頼らざるを得ないのです。
(火力発電では環境に与える影響が大きく、それ以外の発電方法では安定して大量の電気を発電できないため)

ただ科学の進歩は凡人である筆者の想像を軽く超えていくはずですので、いつの日か日本で全ての原子力発電所が解体される日も訪れるとは思います。
その日が何年後なのか何十年後なのかは分かりませんが、一日でも早く訪れて欲しいものですね。


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