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放射能と放射線はどちらが危険なのか

2021.04.07

放射能とは

2011年3月11日に起こった東日本大震災の影響で福島第一原子力発電所から放射能(廃棄)物質が排出されました。

その影響で『放射能』という言葉だけが独り歩きし、放射能を必要以上に怖がる方も増えます。
しかし、怖がる人の中には放射能というものが何なのかを理解していないのにも関わらず怖がっていた方もいたのではないでしょうか。

そもそも放射能とは放射線を出す能力という意味であり、それだけを単語として使うこと自体が間違っているのです。
つまりどういうことかと言いますと、放射能という言葉は誤訳された意味で使われているということです。

例えば「福島第一原子力発電所から放射能が漏れている」という言葉をたまに聞きますが、この文を直訳しますと―

「福島第一原子力発電所から放射線を出す能力が漏れている」

という意味になります。
意味がよくわかりませんよね・・・。

「福島第一原子力発電所から放射線を出す物質が漏れている」と言いたかったのだと思われますが、放射能という言葉を誤訳したまま使うことで伝わりづらい文章になっています。

先ほども申し上げた通り放射能とは放射線を出す能力という意味ですので、それ以外の意味を持ちません。

放射線とは

ざっくりと説明しますと、速くて目に見えない何か(※)、それが放射線です。

※放射線というものをもう少しだけ掘り下げますと、放射線とは高いエネルギーを持った状態で高速移動する粒子(粒子線)と高いエネルギーを持つ短い波長の電磁波を合わせた総称(アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中性子線など)だと言われています。

そして放射線という言葉は『様々な目に見えない何か(電波、可視光線、電離放射線など)』のことを総称した言葉でもあります。

分かりやすい例えを出すなら『原子』と同じ意味合いになるでしょうか。
原子の種類は100を超えていますが、我々はそれらを総称して原子と呼びますよね。
それと同じで放射線も様々な線を総称して『放射線』と呼ぶのです。

結局『放射線』は危険なの?

結論から申し上げますと、放射線は使い方を間違えなければ特に問題はなく、むしろ有効活用が可能です。
例えばレントゲンや電子レンジなどは放射線の一部を利用していますが、使い方を誤らなければ人体に大きな影響は与えません。
(ただし子供の場合は大人よりも放射線の影響を受けやすいと言われています)

「じゃあ放射線が危険ではなく、特定の放射線が危険なのか」と思った方はお待ちください。

それは少し違います。
先ほど申し上げた通り放射線には様々な種類がありまして、危険視されるのは放射線の性質ではなく放射線を浴びた量や時間だと言われています。

ご存知の方も多いとは思いますが、放射線というものは我々の生活の中で当たり前のように存在しています。

一番有名な放射線と言えば紫外線や赤外線でしょう。
例えば紫外線は一時的に浴びる分には問題ありませんが、長時間にわたって浴びてしまいますと人体にも影響が出てしまい、肌が日に焼けて黒ずんだりシミができてしまいます。

先ほども説明したように放射線は早くて目に見えないため、危険だと思われるかもしれません。
ですが、放射線は空気の中を進むば進むほど弱くなっていきます。

つまり、原発から漏れている放射線はそこまで危険ではないのです。
(もちろん事故の起こった原発の近所に住んでいた場合は別です)

では原発から漏れている何が危険なのでしょうか。

それは・・・

放射性物質(放射能を持つ物質の総称)です。

放射線と違い放射性物質は目に見える『もの』ですので、空気の中で放置されても放射線を出す能力は消えません。
そのため生物が空気中に含まれている微小な放射性物質を吸い込んでしまい、体内から被曝してしまう恐れがあります。

また放射能物質は風に乗って遠くの場所まで運ばれてしまい、雨として地面に降り注ぐこともあります。
これは有名な話ですが、1945年の広島には原子爆弾の影響で黒い雨が降りました。
この黒い雨は放射性物質を含んだ塵などが雨と混ざったことで生まれた現象で、別名を放射性降下物といいます。

このように放射能物質の危険度は我々の想像をはるかに超えます。
なにしろ放射性物質は地面に埋めるか人気のない場所にまで移動させなければいけないのですが、その間にも放射性物質は放射線を出し続けているため、作業は慎重かつ丁寧に行わらなければならず、作業員には常に被曝のリスクが付きまとってしまいます。

なので放射線物質の除去作業は膨大な時間を要し、原発事故で有名なチェルノブイリ原子力発電所は事故の発生から30年以上経過しているのにも関わらず、いまだに除去作業が終わっていません。

このように事故が起きてしまった原子力発電所から漏れてしまった放射性物質は放射線よりも有害性が高く、適切な処理をしなければ長期間にわたって環境を汚染してしまいます。

とはいえ原子力発電所が便利な発電所であることは否定のできない事実ですので、いつの日か原子力発電所のように安定して大量の電気を二酸化炭素を出さずに供給できる新たな発電方法が一刻も早く生み出されて欲しいものですね。


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