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「電力」、「熱量」、「発熱量」のお話

2022.12.11

電気関係の話を見ていると「電力」や「熱量」といった単語がよくでてきませんか?

人によっては昔、中学の理科の授業で「電力量」や「熱量」、「発熱量」の定義を学んだことがあるかと思いますが、正直日常生活であまり使うことがないので、意味を覚えていない人も少なくありません。

今回は、「電力」「熱量」「発熱量」について書いていこうと思います。

「電力量」とは?

電力量というのは、電気器具等を使ったときに消費した「電力の量」(W=ワット)のことを指します。

そもそも電力というのは、「電気エネルギーが1秒間にした仕事」という言葉が一番わかりやすいかもしれませんが、電力量というのは「エネルギーの単位=仕事の単位」という式によって決まります。

1Wの電力を1秒間使用したときに消費する電力の量を基準として表すので、次のような式で計算します。

・30Wの電球を200秒間つけたときに消費した電力量【30[W]×200[s]= 6000[J]】
・600Wの電子レンジを10秒間使ったときに消費した電力量【600[W]×10[s]= 6000[J]】

このように、消費電力量が同じだとしても、電気器具の使い方によって少し内容が変わるのが特徴です。

「熱量」とは?

熱量というのは「ねつりょう」と読むのですが、一般的には「エネルギーの熱の量」として解釈されています。

物体間を伝わる熱のことや、燃料や食品の持つ熱を比較して数値で測ったりできるものとして捉えたものを熱量として問題はありませんが、単位の表記は「ジュール (J)」で示すため、ジュール熱とも言われています。

食品などではカロリーとして表記されているかとは思いますが、それも「熱量」になります。

「発熱量」とは?

発熱量というのは、一定の単位の燃料が完全に燃焼したときに発生する熱量のことを指します。
主に、電熱線や電気器具を使った時に発生する「熱の量」のことですが、細かく言うと熱量とは違い瞬間的な量の問題なので、熱量とは全くの別物と捉えても問題ありません。

「電力量」と「熱量」と「発熱量」の違い

ここでは「電力量」と「熱量」と「発熱量」の違いを書いていきましょう。

まず、電熱線に電気が流れていると仮定した場合、電熱線に通電する際電気のエネルギーが「熱量」に変わります。

この時に発熱した力は利用されず電気エネルギーとして消費されるのですが、一定時間電流が流れた際に消費された電気エネルギーの総量のことを「電力量」と呼びます。

これを簡単にまとめると、「電気量」は「通電により発生したエネルギー」のことを指し、「熱量」は「物質が元々持っている発熱するためのエネルギー」、「発熱量」は「熱が瞬間的に出た分のエネルギー」となるため、同じように見えても3つとも違うというわけです。

ジュール熱を利用した家電

熱量、いわゆるこのジュール熱を利用した家電があるのをご存知でしょうか?

例えば、トースターや炊飯器、電気ストーブやドライヤーなどはジュール熱を利用しているのですが、熱を必要とする家電製品など色々なところで利用されています。

ジュール熱のデメリットで、ジュール熱は電動機や発電機などの大きな電力を扱う装置や、これらを繋ぐための配線類も超伝導技術でも使わない限り導体中の抵抗によって無用なジュール熱が生じてしまうため、あまりよくないともされています。

ジュール熱の種類

ジュール熱の加熱の種類は「直接加熱方式」と「間接加熱方式」の2種類あります。

直接加熱方式というのは、加熱したいものに直接電流を流す手法であり、液体状の食材を加熱殺菌する場合に使用されます。

間接加熱方式というのは、その物体に電流を流した際のジュール熱により別のものを温める手法です。

このジュール熱が熱伝導や熱輻射で伝わるため、ドライヤーやこたつのように家電に利用されるということです。

他にも、抵抗加熱の原理という場合もあります。

抵抗加熱の原理とは

抵抗加熱の原理とは電気抵抗で熱を発生させることです。

電流を流すと材料内部自体に自由電子が流れ、自由電子が材料の原子に衝突することで格子振動を生じさせます。

この格子振動のエネルギー自体が熱エネルギーに変換されるというメカニズムになります。

ですので、アルミなどの電気抵抗の低い材料は金属原子に当たる確率が低く熱が生じにくくなります。

抵抗加熱の特徴

抵抗加熱の特徴は3つほどあります。

1つ目は、電気エネルギーの変換効率がとても良いことです。

抵抗加熱は電気エネルギーがそのまま熱エネルギーに変換されるのですが、ほぼ100%に近いほどの変換効率です。

2つ目は利用できる温度範囲が広いことです。

電流値と形状で出力の変換ができるため、利用温度範囲も広いです。

3つ目はガスや真空などの環境下でも使用可能。

電気が流れると発熱するため、窒素環境下や真空中でも使用することが可能です。

このように、金属やセラミックスに電流を流した際に発生するジュール熱を利用することによって家電にも利用されています。

ちなみに、スマートフォンが発熱するのも電子部品の回路に電流が流れることで起こるジュール熱が発生するからです。

抵抗加熱の発熱体の種類

抵抗加熱の発熱体にも種類があります。

大きく分けて「金属系」と「非金属系」の2つに分かれます。

金属系の発熱体は、「鉄-クロムアルミ系」「ニッケル-クロム系」「白金」「モリブデン」「タンタル及びタングステン」などが挙げられます。

この中でも、最も多く利用されているのが「鉄-クロムアルミ系」「ニッケル-クロム系」になるのですが、このような金属系は最高1400℃程度までの温度域で使用されています。

非金属の発熱体は、「黒鉛」「炭化ケイ素」「モリブデン―シリサイト及びカーボン」などが挙げられます。

金属発熱体が使用できない温度域で使用するのですが、金属発熱体よりも使用温度範囲は圧倒的に広いのが特徴。

おおよそ1500℃以上から高いもので2600℃程度まで使用されています。

まとめ

今回のブログでは少し勉強のような感覚で書きましたが、どうでしたでしょうか?

このように、学校で習ったであろう「電力」「熱量」「発熱量」は覚えてなくても生活はできますが、少しでも知っていると家電や食品の詳細を見る時に、「あーこういうことか」と思うかもしれませんね。