危険な電気ショックが命を守る?
2022.12.04
タイトルだけだと少しわかりにくいかとは思いますが、皆さんも一度は聞いたことのある「電気ショック」。
この言葉で皆さんが連想するのはなんでしょうか?
昔の拷問方法、防犯スタンガン…はたまた某電気ねずみが出てくるゲームなどが多いかもしれませんが、実は電気ショックという言葉は人の命を守ることができる言葉です。
今回は電気ショックの危険と命に関して書いていきましょう。
電気ショックとは?
そもそも電気ショックとはなんでしょうか?
電気ショックというのは、英語で書くと「Electric shock」と書きます。
実は、電気ショックという言葉自体の意味は「感電」という意味になるため、電気などが体に通電した場合に電気ショックという言葉が合うというわけです。
しかし、「電気ショック」ではなく「電気ショックガン」というものもあり、これはスタンガンを意味します。
なので、皆さんが想像している防犯用のアイテムの一つにもなるということです。
電気ショックは治療法の一つ
電気ショックは扱い方さえ間違えなければ命を救うことができます。
それを電気ショック療法と言いますが、主に心臓に電気的な刺激を与えることで心房の震えを止めて、脈を普通の状態に戻す治療法があります。
皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、「AED」ってわかりますか?
このAEDが電気ショックを出すことができ、だれでも命を救えるような救命道具になります。
このように電気ショックは決して感電するというマイナスなイメージだけではなく、人の命を救うこともできます。
AEDとは
AEDというのは「自動体外式除細動器」のことで、心臓が痙攣を起こし血液を流すポンプ機能を失った状態になった心臓に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器の一つです。
2004年7月から、医療従事者ではない一般の方でも使用可能になり、病院や診療所はもちろん、空港や駅、学校や公共施設など人が多く集まる場所を中心に設置されています。
AEDの操作方法はとても簡単になっていて、音声でガイドしてくれるため誰でも簡単に使用できるようになっています。
ちなみに、AEDの電気ショックに使用される電圧は1,200〜2,000V程度、電流は30〜50A程度と言われています。
電気ショックは人を傷つけてしまう
電気ショックはAEDのように人を救うこともできますが、扱い方を誤れば人を傷つけてしまいます。
通常の電気ショックは感電という意味もあるのですが、その感電を利用した拷問もある通りに人にダメージを与える役割もあります。
AEDも利用するにあたり、電気ショック使用時には周りに人がいないかどうかの確認があります。
それほどまでに電気を扱うときは気をつけなければいけません。
しかし、その人を傷つける電気ショックも自身を守るためには必要なときもあります。
人を守りそして傷つけるスタンガン
皆さんはスタンガンを聞いたことがあるかと思いますが、実際に使ったり使われたりする経験はないかと思います。
スタンガンは高電圧を発生させて相手を威嚇したり、撃退するための護身機器です。
主に手のひらサイズで、電池を内蔵しているものがほとんどです。
本体には電池と高電圧パルス発生回路が収納されており、本体先端部には空中放電用の電極と相手への通電攻撃用の電極がそれぞれ対になっています。
スタンガンは基本的に空中放電が可能で、その電気の光や音で高い威嚇効果を発揮します。
また、人体に電極を押し付けて放電することにより、高電圧電流が相手の体内に流れて激しい痛みとともに体中の筋肉がこわばり、体の自由が効かなくなります。
スタンガンの威力
スタンガンの出力電圧は、小さなものでは15万Vから130万Vまで存在します。
しかし、スタンガンの威力というのは出力電圧とは違います。
実際のスタンガンの威力は出力電圧と通電電流が密接に関わったものになるため、その出力電圧だけでスタンガンの威力を判断するのは違うのです。
スタンガンの用途として、基本的に見の危険を感じた際に相手を威嚇したり麻痺させたりするのが目的なので相手を死亡させることはできません。
スタンガンを相手に当てると、神経網を伝って全身に電気が流れ、神経を麻痺させたり筋肉を硬直させることにより相手の動きを止めることができます。
しかしスタンガンの威力にもよりますが、その効果は一時的なものなので気絶させることすらできません。
もちろん、電圧があまりにも高く、当てる場所が悪ければ気絶する可能性はありますので注意です。
あくまでも一時的に相手をひるませたり身体の自由を一瞬だけ奪うだけなので、その隙に周りに助けを呼んだり逃げたりなどの行動をとってください。
電圧が高いだけで人は死亡しない
人が感電死する危険がある電圧量はおおよそ50Vと言われています。
42Vくらいでも、身体が濡れていたり金属製の電気設備等に身体が触れていれば感電死する可能性があるため、「42Vは死にボルト」という言葉もあります。
しかし、スタンガンやAEDなどの電気ショックで感電死しないのはなぜでしょう?
それは、人が感電死するには電圧だけではなく、「電流」が関係しているからです。
流れる電流の大きさや時間、電流が流れる場所が関係しており、「電圧の大きさ」ではなく「流れる電流の大きさ」で危険性の大小が決まります。
なので護身用に使われるスタンガンが人体に与える電圧は10万〜500万Vあるのですが、相手を動けなくするだけで済んでいるのは流れる電流が大きくないためです。
人が感じる電流
人間は1mAの電流が流れ始めると徐々に電気を感じ始めるのですが、実際にはどのような痛みや効果があるのでしょうか?
・1mA
1mAは電流が流れるのを軽く感じる程度であり、簡単に言うと銭湯などにある電気風呂くらいの電流だと思えばわかりやすいかもしれません。
・5mA
5mAは痛みを覚えるレベルで、静電気の痛みくらいだとイメージしやすいのではないでしょうか?
・10mA
10mAほどまで上がると我慢できないほどの痛みがあり、ほんの少しの時間でも転がりまわるほどの痛みが生じます。
・20mA
筋肉が痙攣しして動けなくなり、呼吸困難に陥る危険性あり。
ここからはとても危険な状態で、スタンガンなどでもかなり威力の高いものであればこのくらいの電流がある可能性があります。
・50mA
50mAまでくると非常に危険な状態。
わずかな時間あたっているだけでも命が危険なレベルです。
・100mA
致命的なダメージでほぼ確実に死亡するレベル。
かなり大型の電気設備がある場合は、このレベルの電流が流れている可能性があります。
このように、電流によってどの程度の効果があるのか書いていきましたが、感電してしまうとかなり危険ですので、ご自宅のブレーカーなどを触る際や放電中の家電製品などに触れる場合は気をつけるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事は電気ショックについて書いていきましたが、電気ショックは人を救う反面、人を傷つけてしまうことがあります。
このように、電気というものは人々の生活を豊かにする便利なものではありますが、扱い方を間違えてしまうと命の危険性があるため、電気を扱う際は気をつけるようにしましょう。