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IEC規格ってなんだろう?

2023.03.26

よく電気関係を扱うときにIECという単語を見ることはありませんか?

普通に生活しているかぎりあまり見ることはないと思いますが、ふとしたときに出てくるIEC。

今回のブログではそんなIEC規格について書いていきたいと思います。

IEC規格とは?

そもそもIEC規格とはなんなのでしょうか。

IEC規格とは ISOで取り扱っていない、電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている国際標準化機関のことです。

一口に電気・電子技術分野といっても様々で、発送電やエレクトロニクス、磁気学と電磁気学や電気音響学などが対象となっています。

これらに関連する用語や記号、電磁両立性や性能だけではなく、信頼性や安全環境などが標準化範囲となります。

IEC規格は1906年に設立され、中央事務局はスイスのジュネーブに置かれているのですが、元々、「International Electrotechnical Commission」の頭文字を取った言葉で、日本語で「国際電気標準会議」と訳されます。

電気だけではありませんが、頭文字を取った言葉というのは結構多いですよね。

ISO規格とJIS規格の違い

IEC規格の話をする際に、よく出てくる「ISO規格」や「JIS規格」がありますが、ここではそれぞれの役割を書いていこうと思います。

ISO規格とは

まずはISO規格について書いていきましょう。

ISO規格というのは、「国際的な規模で基準を統一する規格」になります。

世界共通のものさしというイメージで問題ないでしょう。

簡単に説明すると、国によって製品の大きさや安全性、機能性や品質などが変わってくると、国同士の取引に支障が出てしまいます。
これらのルールを作ることによって標準化するのを目的としたものがISO規格です。

JIS規格とは

JIS規格は日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略で主に品質の改善や取引の単純公正化、使用や消費の合理化を図ることなどの保証のために定められた基準のことです。

JIS規格は、その性質によって基本規格、方法規格、製品規格の3つに分類することができて、その中でも基本規格が一番多くなっています。

ISO規格と似ている面もありますが、ISO規格の原文は英語、フランス語などで作成されます。

それを日本国内での使用を円滑にするために、技術的な内容や規格票の様式を変更することなく日本語に翻訳され、JIS規格として発行されています。

ISO規格とJIS規格は基本的なルールは同じですが、それを国際的なルールとして書かれているものがISO規格。

日本国内に通じるように和訳されているものがJIS規格という認識でも問題ありません。

性質による3分類

先述した性質による3分類とはどのようなものがあるでしょうか?

基本規格

用語や記号、単位や標準数など、共通事項の規定のことを基本規格といいます。

方法規格

方法規格というのは試験や分析、検査および測定の作業標準などの規定です。

製品規格

製品規格というのは、その製品の形状や寸法、材質や品質などの規定です。

IEC規格との関係性

JIS規格とISO規格の違いについては先述した通りですが、IEC規格との関係性はどのようなものでしょうか?

IEC規格というのは電子技術に特化した国際標準規格のことを指しますが、ISO規格やJIS規格に関してはI電子技術、電気分野以外の製品やサービスなどの分野における国際的な標準を定めている規格です。

なので、IEC規格は類似の規格とも呼べるでしょう。

ちなみに、電気の中でも無線や有線などの電気通信はITUの管轄になります。

ITUというのはITU-R(無線通信部門)、ITU-T(電気通信標準化部門)、 ITU-D(電気通信開発部門)の3つの部門で構成されているのですが、昔は電話やモールス信号など国をまたいでしまうと障害や遅延が起こることから標準化の取り決めが進んだと言われています。

IEC規格をとるために必要な試験

IEC規格には様々なテストがあります。

このテストをクリアしないとIEC規格に取れないのですが、テスト内容はどのようなものがあるでしょうか?

テスト基準はたくさんあるのですが、ここでは少しだけ書いていきましょう。

振動試験

規格試験の中で振動試験というものがあります。

振動試験というのは、電子部品や機器など製品の機能や性能や信頼性などの品質を評価する試験です。

輸送中のときや使用中に起こりうる様々な振動を予測し、その振動に耐えれるかどうかのテストになります。

衝撃試験

衝撃試験というのは金属材料試験の一つで、試験片や材料に急速に衝撃を与えることによってエネルギーの大きさや、亀裂の進展状況などを評価する試験です。
簡単に言うと衝撃に対する強さを測るテストですね。

塩水噴霧試験

この難しい漢字の塩水噴霧試験とは、腐食を評価する試験です。

内容は塩水の噴霧中に試験片を一定時間暴露させ耐食性を測るというものです。

装置や部品などの金属は、雨や海の近くにさらされるとサビが発生してしまうので、その試験である程度の基準値に達しないとクリアすることができません。

IEC規格を見る方法

少し興味があってIEC規格を見てみたいと思う方に朗報ですが、IEC規格は個人で見ることができます。

例えば、関西の国立国会図書館にはIECやJISなどの規格が所蔵されています。

東京にある本館で見たい方は関西館から取り寄せになってしまいますが、見ることは可能です。

他にも、IEC Webstoreというもので目次やイントロダクションのプレビューを確認することができます。

他にも閲覧方法はありますので、ご自身が楽だと思う方法で閲覧してみましょう。

まとめ

物作りというのは自由です。

皆さんが作りたいものや考えたものを形にするということはやはり楽しいものではありますが、それを販売や流通させるとなるとルールが必要になります。

普通に暮らしている皆さんであれば特に関わることもないと思いますが、少しでも電気に関わる知識をつけるのであれば頭の片隅にでも覚えていただければ幸いです。