電気クラゲって電気を流さないって知ってる!?〜電気を流す生き物〜
2024.04.07
いきなりですが、皆さんは電気クラゲをご存知でしょうか?
電気クラゲをイメージすると、電気を流す生物として認識している人もいると思いますが、電気クラゲは電気を流しません。
じゃあ、なんで電気クラゲと名付けられたのでしょうか?
今回のブログでは電気クラゲを筆頭に、電気を流す生物について書いていこうと思います。
電気クラゲは電気を出さない
まず、皆さんに一番お伝えしたいのが「電気クラゲは発電しない」ということですが、なぜ電気クラゲという名前になったのでしょうか。
それは、電気クラゲの触手にある毒針で刺されると、電気が走ったような痛みが走るということから、感電したように感じるため、電気クラゲという名前がつきました。
そもそも、電気クラゲは俗称で、「カツオノエボシ」や「アンドンクラゲ」などが電気クラゲと呼ばれています。
カツオノエボシは腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱管クラゲ目に属しており、夏の時期、日本の黒潮域の沿岸に現れます。
長さは約10cmくらいの青紫色のふくろ状の気泡体があり、この気泡体が浮袋の役目をしています。
気泡体の下のあたりには、栄養や生殖を司るポリプと呼ばれている体の部分と、数本の長い触手と十数本の短い触手があります。
この長い触手は、獲物を捕まえる際に伸ばすのですが、5m近くまで伸びるそうです。
その獲物を捕まえる触手が毒を出すのですが、その毒に刺さると激痛が走ります。
他にも、日本には強い刺胞毒をもつクラゲはカツオノエボシやアンドンクラゲだけではなく、「キタカギノテクラゲ」、「アマクサクラゲ」、「ヒクラゲ」など数種がいます。
クラゲに電気を流すと動きが早くなる
ここで少し面白い話になりますが、クラゲに電気を流すことによって普段の3倍近くのスピードを出すことに成功した実験があります。
クラゲの「傘」の部分を動かす筋層に2本の電極を挿入。
ここでマイクロチップがそれらを制御するのですが、ここで発生する電極は、元々クラゲに備わっているペースメーカーに類似しているとのことです。
この人工ペースメーカーをつけることによって、秒速2cmだったクラゲの遊泳スピードを約3倍である秒速6cmまで速めることに成功しました。
他の発電する生物
電気クラゲは発電しませんが、他の電気〇〇と呼ばれる生物がいます。
例えば電気ウナギ。
電気ウナギは、南米のアマゾン川などに生息する魚の一種で体長が2mを超えることも珍しくない大型の淡水魚です。
人間もそうですが、基本的に生物は筋肉を動かすことで微弱な電気を発生させています。
しかし、この電気ウナギは筋肉を発展させる発電器官をもっているため、強力な電気を発生させることが可能なのです。
電気ウナギ以外にも、電気ナマズやシビレエイなどの代表的な発電生物がいますが、なぜこのように発電させることに意味があるのでしょうか?
それは、自己防衛や環境探知機としての機能として備え付けられています、仲間同士のコミュニケーションのための利用もされているでしょう。
ちなみに、電気ウナギに関しては「デンキウナギ目デンキウナギ亜目デンキウナギ科デンキウナギ属」として独自のグループがあるため、実際のウナギとは見た目が似ているだけで種族としては違います。
発電生物の強い弱い
発電する生物には種類が多々あります。
その種類の中ではあまり電気を発生させない生物もいます。
ここでは簡単に種類を書いていきましょう。
- 強発電魚(100V以上の発電量を持つ発電魚)
- デンキウナギ
- デンキナマズ
- シビレエイ
- 弱発電魚(5V前後の微弱な発電量を持つ発電魚)
- エレファントノーズフィッシュ
- ジムナーカス
- ガンギエイ
- ナイフフィッシュ
- カラポ
- アイゲンマニア
- ブラックゴースト
思ったよりもいますよね。
電気を流す生物を利用して発電に成功
上記で先述した電気を発生させる事ができる生物を利用して、発電機を開発したグループがあります。
その生物はシビレエイ。
現在では、世界的にも火力や原子力といった元々ある発電方法に代わる、クリーンで安全な発電方法の開発が必要であることから、シビレエイの電気器官を利用した新原理の発電機を開発したことがあります。
このシビレエイに代表される強電気魚は、体内に備えられている電気器官によって変換効率が約100%効率的な発電を行っています。
この強電気魚はアデノシン三リン酸というものをエネルギーに変換するタンパク質が高度に集積化された電気器官とその制御系である神経系を持っているために可能なことなのです。
この強電気魚から電気機関を取り出すことによって、蓄電・発電が可能になる実験が成功に収まりました。
今後も発電生物によって各家庭に電気を届けられる日が来るかもしれません。
電気ウナギは食べられる?
結果から書くと、電気ウナギは食べられます。
電気ウナギは危険を感じたときや獲物を襲うときに放電して、500Vから800Vの電圧の電気を発生させます。
私たちが普段から使っている家庭用コンセントが100Vであることを前提に、電気ウナギは500Vから800Vの電圧の電気を発生させます。
かなり危険な電圧がイメージされますね。
なので、取る際には特別な方法で放電させ続けてから捌くというのがセオリーです。
しかし、捕獲が難しくて、食用に向いていないのがデメリット。
味もそこまで美味しくはないと言っていたので食べることはあまりお勧めしません。
まとめ
電気ウナギの発電の仕組みや、電気クラゲの名前の由来についての雑学をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
電気ウナギは強力な電気を発生させることができますが、それによって人間が死亡したという話は残っていないのが現状。
結局感電はするので、危険であることは確かですが、人間を殺すレベルではないでしょう。
逆に電気クラゲの毒は非常に危険で、強力な毒をもたないクラゲに刺されてアナフィラキシーショックで死ぬこともあります。
それも含めて、電気ウナギよりも電気クラゲの方が人間にとって危険なのかもしれませんね。
もし水辺で遭遇した場合は、全力で逃げてくださいね!