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電力を買い取る制度「余剰電力買取制度」

2022.05.01

皆さんは、いらなくなった物をリサイクルショップやインターネットオークションに中古で売ったりしませんか?
実は、電力も買い取ることができる制度があります。

それは、余剰電力買取制度。

こちらの制度は、家庭や事業所など、太陽光発電からの余剰電力を一定の価格で買い取ることを電気事業者に義務づけることができる制度です。
現在では、エネルギー源の多様化を図るとともに、景気対策や地球温暖化対策としても有効な制度とされています。

今回はこの電力の買取について書いていきましょう。

固定価格買取制度とは

太陽光発電の買取制度には「余剰電力買取制度」と「固定価格買取制度」の2種類あります。

余剰電力買取制度というのは、平成21年11月より開始された買取制度で、太陽光発電で作られている電気が、自宅での使用量を上回った場合自宅での消費分を差し引いた余剰電力を電力会社が買い取ることを指します。

その買取制度自体は、「太陽光発電促進付加金」として国民が電気料金と一緒に毎月負担していました。
その後、余剰電力買取制度は太陽光発電の普及拡大により、平成24年7月1日から固定価格買取制度という制度に移行しました。

固定価格買取制度というのは、再生可能エネルギーで発電した電気自体を、電力会社が国が定めた固定価格で一定の期間買い取ることを義務付けた制度です。

別名でFIT (Feed-in Tariff)法とも呼ばれています。

これにより東京電力や関西電力といった一般電気事業者では、再生可能エネルギー電力を通常の電力卸売価格よりも高値で買い取ることが義務付けられています。
また、一般電気事業者が電力を買い取るために必要な費用は、太陽光発電促進付加金と同じように、再生可能エネルギー発電推進付加金として国民がまかなっているのです。

固定価格買取制度の仕組みまとめ

固定価格買取制度の細かい仕組みについて、こちらでは書いていこうと思います。

・再生可能エネルギー発電

こちらの再生可能エネルギーは、太陽光発電のほかに風力、水力、地熱、バイオマスがあります。

固定価格買取制度を受けるためには必要な設備が必要になり、国が定める要件を満たした設備が設置されているのが条件になります。

・電力を電力会社が売る

買取に関しては、太陽光発電の設置容量が10kW以上であれば全量買取が可能です。
しかし、10kW未満の太陽光発電の場合では、自宅で消費した余剰分の電力が買取対象になります。

電気自体は、電力会社の送電線につないで電力を送るため、発電設備と送電線の接続、電気の買い取りを電力会社に申し込みます。

電力会社によっては、接続費用の負担額や接続までに必要な時間などの条件は異なりますので、電力会社に確認してみましょう。

・電力会社が買い取る

電力会社との買取契約後は、売電電力量に応じて毎月買取額が支払われます。

こちらの代金は、各家庭から毎月徴収している「再生可能エネルギー発電促進賦課金」から支払われているので、結果として国民が負担していることになります。

・再生可能エネルギー賦課金

電力会社は、家庭や企業などの電気利用者から毎月の電気料金と一緒に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として徴収しているため、発電事業者から電気を買い取る費用として充てています。

新電力会社でも賦課金は徴収されます。

固定価格買取制度によるメリットとは?

聞いているだけだと、なんのメリットがあるかわからない方もいますが、当然メリットもあります。
ここではわかりやすく説明していきましょう。

・日本のエネルギー自給率を上げることができる

固定価格買取制度は、日本全体のエネルギー自給率を上げることが可能になります。

再生可能エネルギーで電力を生産し、輸入に頼らないシステムを構築することによって、国際情勢により電力供給が左右されることはまずありません。
さらに自給率を上げることにより、余剰電力まで確保できるようになれば、逆に他の国へのエネルギー輸出を目指すことも可能になります。

・電気が安くなっている 

再生可能エネルギーでの発電自体は、コストがどうしてもかかってしまいますが、固定価格買取制度の導入により普及は加速しています。

固定価格買取制度導入後、再生可能エネルギーの発電量割合は約2.6%から約9%に増加しています。

市場が活発になることによって、発電コストも下がり、結果的に電気代が安くなっているということです。

固定価格買取制度の問題点は?

固定価格買取制度はメリットばかりではありません。
一番の問題点は、国民負担である再エネ賦課金の高騰です。

年々この賦課金の金額が増えていて、現在約3.4円ほどになっております。
ですので、一般的な4人家族世帯の使用電力を370kWhで計算すると、一か月あたり1,000円は超えてしまいます。

システム価格の下落とあわせて買取価格を下げることによって、再エネ賦課金による負担の軽減をしているのですが、それでも国民負担はどうしても大きくなってしまい、問題とされています。

また、賦課金の高騰に拍車がかかっているのが未稼働案件というものです。
未稼働案件というのは、以前に高い固定買取価格の権利を確保していた発電所のことです。
この発電所は稼働しておらず、未稼働案件といわれています。
これは設備認定の電力を売買する目的があるためといわれているため、問題視されていました。

過去の買取価格で設備認定を受けていて、太陽光発電設備の購入にかかる費用が値下がりした時に運転を開始すると、その事業者に利益が生まれて賦課金が増えてしまいます。

現在では、事業計画認定後の270日を経過しても設備が確保されていなくて、正当な理由がない状態で稼働しない場合は、認定が自動執行するという対策がされています。
これは、FIT法が改正されたためですが、今後も未稼働案件の対策に有効とされています。

まとめ

今回のブログはいかがでしたでしょうか?

正直、一般消費者である我々にはあまり聞いたことのない固定価格買取制度ですが、遠回しに我々にも影響があります。
ですので、少しでも覚えていると今後何かしらのタイミングで役にたつかもしれませんね。